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今日の法話2008/12/15

『身近なことからこつこつと』

年末になると人々が口々にいう言葉は、「一年早いですね。」ですが、「歳をとるとなお早い。」ともいわれます。確かにその通りだと思います。
一才の赤ちゃんにとっての一年は、自分が生きた人生そのものの期間であるのに対して、二十才の人にとっては、一年は人生の二十分の一、50才の人なら、一年は人生の五十分の一なのですから、年をとった人ほど一年は早いということになります。
しかし、過ぎてみれば早い一年ですが、振り返るといろんなことがありました。
私自身の身近な出来事も多々ありましたが、世の中の出来事も振り返れば、いろいろありました。
テレビのニュースでは毎日悲惨な事件が報道され、耳を疑いたくなるような内容が伝えられます。昨日の事件の続報かと思うと新しい事件であったりと正に世も末の様相です。

先日、テレビを見ていると瀬戸内寂聴さんが、「世の中に聖職者といわれる職種が三種ある。学校の先生とお医者さんと僧侶だが、この人たちがしっかりしていないから、今のように乱れた世になったのだ。」といわれていました。
世の中を作るのは、政治家だとも思いますし、コミュニティーの崩壊や個人主義、マスコミの影響や外国文化の波及など様々な要因はあると思いますが、とにかく学校の先生とお医者さんは置いといて、僧侶については、私自身が僧侶ですから敢えて語ると、確かに葬儀や法事などの儀式に忙しく、世直しに時間を割けていないような気がします。
儀式を通じて法を伝え、いのちの重みと生きる喜びをあじわう場をもっと人々に提供していかねばならない役目が僧侶にはあるのだと思います。

先日、満中陰法要のあとの会食の場で、施主の弟さんからお褒めの言葉をいただきました。
満中陰法要を勤めた故人は、施主の父親であり、もちろん弟さんの父親でもあります。弟さんが中学校の教員であることから、その学校の校長先生が、通夜の場に参っておられたそうです。その通夜の席での私の法話が良かったことと、通夜には良く参るが、法話をする僧侶が少なくなったとのことでした。
通夜の席は、仏法を伝える最高の機会であると私は思っています。

「身近なことからこつこつと」をキャッチフレーズにしていた政治家がいましたが、来年も僧侶の本分を忘れず、身近なことから努力したいと思います。

今年一年、ありがとうございました。


平成20年12月15日