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今日の法話2009/01/31

「極楽と地獄」

浄土真宗の開祖親鸞聖人は、「親鸞」の「親」をインドの天親菩薩、「鸞」を中国の曇鸞大師の名からいただかれています。
天親菩薩の著書『浄土論』には、『世尊我一心 帰命尽十方 無碍光如来 願生安楽国』(世尊、我一心に、尽十方無碍光如来に帰命して、安楽国に生れんと願ず)とあります。
五濁悪世の娑婆の世界は、貧欲・瞋恚・愚痴が渦巻く世であり、そこに生きるということは、地獄を作る作業の毎日であり、そんな私たちが阿弥陀様のご本願によって、悟りの地である浄土に往生することができるという真実を述べられています。

先日、お寺の住職の会合(お酒の入る会)の席で、ある住職が、「最近の布教師は、地獄を語らなくなったが、このことは世の乱れに無関係とは言えない。」と言っておられました。

死んで極楽浄土を見てきた者がいないと同様に、地獄を見て娑婆に帰ってきた者もいないのですが、浄土が真実報土《疑いのないもの、なくてはならないもの》であるなら、地獄は、方便化土(穢土)である娑婆が地獄の種づくりの場である以上、これもまた疑いなく存在するものでなければならないということになります。

地獄に落ちるわが身が、お念仏申すことによって、浄土に導かれる身に変えられているのだということは、浄土真宗のお念仏が阿弥陀様のご本願を信じ、その願に生きるお念仏である以上、阿弥陀様から回向しつづけられている身であったと気づかされることであり、その信心のありかたを親鸞聖人は『弥陀の還相回向』と教えて下さっているのです。

平成21年1月31日