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今日の法話2006/11/21

「夢」についてのお話

皆さん こんにちは。

本日は、「夢」についてのお話を致したいと思います。

夢といえば、仏教でも、お釈迦様がお生まれになった時、その母であるマヤ夫人は、白象の夢を見たと伝えられています。また、浄土真宗の開祖親鸞聖人が、20年間の比叡山での修行に見切りをつけ、京都の六角堂に100日の参籠した時、聖徳太子の化身と考えられていた求世観音の夢のお告げも、これまた有名で、法然上人との出会いの導きになりました。

話は私事になりますが、二十年ほど前、ある団体の洋上スクールで、一週間の日程で、中国へ研修旅行に行ったときのことです。中国への往復(片道二泊三日)は、洋上すなわち船上での、中国の歴史や文化、仏教の勉強を行いながらの旅でした。船はフェリー船を改造したものだったのですが、私の船室は、その船底でした。部屋は、海面より下に位置し、もちろん窓もなく、エンジンの大きな音と油の匂いのする三段ベットの9人部屋で、優雅な船旅とは程遠いものでした。そのため、ボーボーというエンジン音と日本海の荒波が船体に当たるドーンドーンという大きな音を聞きながら寝なければならない有様でした。博多湾を出港した夜のことです。私は、夢を見ました。私の寺近くの山がボーボーと猛り狂う炎に包まれている火事の夢でした。その火の粉が、寺の本堂の屋根に飛んできて、今にも寺に火が付きそうで、私は、必死に火を追い払っているのです。私は、夢にうなされて、眼を覚ましました。辺りを見回し、船上にいることに気付きましたが、もちろん電話もありません。私は、中国に着くまでの三日間、心配で仕方がありませんでした。結局、中国へ着いて、国際電話をかけ、寺には何の大事も起こっていないことを知り、安心しました。

人間は、確かに、良い夢を見れば喜び、良いことがあるのではと期待し、悪い夢を見れば、不吉な予告ではないかと心配します。
しかし、こんな話を聞いたことがあります。

ある夫人が、夫の死の夢を見ました。その人は、夫の死の夢を見て、「如来様が、私に、主人のご恩を忘れてはいないか。」と、お叱り下さったのだと思ったというのです。そして、夢を見た翌日から、会社に出勤するご主人のうしろ姿を感謝して拝んだそうです。

私たち念仏者は、夢の中にも、如来の光明をあじわう態度で生きていくことが大切ではないでしょうか。

平成18年11月21日