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今日の法話2007/01/20

心ひとつで 運気は変わる

皆さん こんにちは。

心ひとつで
運気は変わる
もうと嘆くな
まだと踏んばれ


寺の掲示板の言葉です。

お正月にある檀家の方が、姉妹でお参りに来られました。
私は、お参りがあり、寺を留守にしていたのですが、ご丁寧にお供えを頂戴していたので、お参りから帰って、早速、お礼の電話を掛けました。
妹さんが、電話に出られたのですが、「姉が体の調子が良かったので、お参りさせていただきました。それから‥‥、お寺の掲示板の言葉に励まされました。」
このように、おっしゃいました。

姉妹は、二人で生活しています。毎月、月忌参りにお宅へ参っていますので、お姉さんがご病気であることは分かっていました。
お姉さんは、うつ病にかかっていました。
お姉さんは、若い頃から、責任のある仕事に就かれ、10年ほど前に退職されました。

まだ、私が二十代前半であった頃、ある事柄で悩んでいた私に、優しく、時に厳しく生き方を示唆してくれたこともあり、その当時、若かった私は、人生に自信を持って生きる彼女を尊敬していました。
しかし、五年ほど前から体調を崩し、医者から、うつ病と診断されたのです。

世の中には、私のことなど誰も知ってはくれないと、泣いている人がいます。私の周りは、皆、私の敵だとさえ思い込んで、心を硬く閉ざしている人がいます。
心を許したら、最後はいつひっくり返されるかもしれないとばかりに、心に鎧を着こんで、片時も緊張感をゆるめようともしない人さえいます。
現代社会は、そのような心でなければ生きていけないほど、個人主義あり、競争社会であり、弱肉強食の時代なのです。
だから、その様な人が、ノイローゼにならなかったら、不思議というものかもしれません。
ここに、現代人の病の重さがあるのです。
現代人をむしばんでいく最も恐ろしい病は、不信感と孤独感であり、言い知れぬ寂しさであります。

しかし、「心は、巧みな絵師のごとし。」という言葉もありますが、人に対する不信感も、「人を見れば、泥棒と思え。」と見るのと、「渡る世間に鬼はなし。」と見るのでは、見方は180度違ってきます。
心次第で病が治るとは思いませんが、姉妹の「お寺の掲示板の言葉に励まされました。」の言葉に、現代社会における宗教の役割を感ぜずにはおれません。

早朝5時過ぎ、まだ夜も空けぬ暗闇の中、けたたましく鳴る電話で目が覚めました。
その姉妹の病気のお姉さんからでした。
「法親寺さん、今日来てほしいのだけど‥‥。」
少し、話してから電話を切りました。
夜が明けるまで、もう少し眠ろうと床に入りましたが、朝まで眠れませんでした。
その日、妹さんから、早朝の電話に対するお詫びの連絡がありました。

浄土真宗のみ教えの真髄は、この私が、如来様のみ光の中にいるのだということのぬくもりを感じ、私の人生が光の国への旅であるということのなごみをあじわうことにあります。

けっして、私は一人ではない。
悩み苦しみ、言い知れぬ寂しさの中にいる私こそが、如来様の救いのめあてであり、だからこそ、私の人生は光り輝くのです。

平成19年1月20日