今日の法話2007/05/04
先人が残した「もったいない」という言葉
皆さん こんにちは。
丸い地球儀をくるくる回しながら、世界中の国々を見ることは楽しいものです。
20代、30代の頃、私は、海外旅行に何度か出かけました。
その多くは観光とは程遠い旅行だったのですが、今でも鮮明に記憶に残るのは、中国への往復を仏教と中国の歴史を勉強しながらの洋上スクールとマレーシアのクチン市からカヌーを使って川上へ数時間、イバン族の部落でのホームステイ、フィリピンでのゴミの山スモーキーマウンテンに住む子供たちとの交流とピナツボ火山の噴火後の灰の山への植林を行った旅です。
特にスモーキーマウンテンでは、自然発火して常に煙がくすぶるゴミの山を職のない親に代わってお金になるものを探す子供たちの姿にショックを受けたことを覚えています。
子供たちとフィリピン大学のグランドで遊び、木陰で昼食のフライドチキンを食べたのですが、どの子もチキンを半分しか食べないのです。後の半分を自分の家族に持ち帰るためです。
随分前の話なので、今ではそれらの場所も多少は変化していると思いますが、現在でも世界中で12億人、つまり5人に1人が、日に1ドル以下の生活を強いられ、子供も含め、世界中で5億人が、飢餓か栄養不足に苦しんでいるのが実情です。
さて、日本の食糧事情はどうでしょうか。
農水省の調査によると、下記のようなデータが出ています。
◇ 食堂、レストランの食べ残しロス率
(魚の骨や野菜くずなど不可食部は除外)
・食べ残した客の率 34.1%
・客が残した量の率 3.3%
◇ 同じく、食べ残した量
・結婚披露宴 22.5%
・宴会 15.2%
・宿泊施設 13.0%
・食堂・レストラン 3.1%
◇ 家庭の食べ残しロス率
・4.1%
(魚の骨や野菜くずなど不可食部は除外)
・食べ残し1.1%
・過剰除去2.0%
・直接廃棄0.9%
◇ 食べ残しの理由(複数回答)
・量が多かった 72.3%
・嫌いなものがあった 13.3%
・食べなかった人がいた 12.8%
・体調不良など 11.5%
・味がよくなかったため 10.5%
今では、死語になっているのかもしれませんが、日本には、「もったいない」という素晴しい言葉があります。
人間の生活の全体は、衣・食・住ですが、中でも食は、人の命を存続するためになくてはならないものであります。
ところが、その食は、野菜にしても魚肉にしても、私に布施した他の命の恵みの上に成り立っているのであり、そればかりか、世界中では、驚くほど多くの人たちが食を口にすることが出来ず死んでいるのですから、私たち日本人は、もっと食に対して感謝と恩恵を感じるべきでしょう。
もう一度、日本人は、先人が残した「もったいない」という言葉の意味を考えなくてはならないと思うのです。
平成19年5月4日