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今日の法話2007/02/02

ご先祖のご恩を偲ぶはずのお墓が‥‥

皆さん こんにちは。

父親を、昨年亡くしたご門徒のお宅へ、お参りに行ったときのことです。
「ご住職さん、近所の人から、お正月に、お墓へ参ってはいけないと聞きましたが、本当ですか。」と当家のご主人に尋ねられました。

この方は、お正月にお墓に参りたかったのに、それができなかった。その理由は、近所の人から言われた「お正月にお墓に参ってはいけない。」の一言だったと言うのです。

「そのご近所の方は、何か根拠があって、あなたに、そのように言ったのでしょうか。浄土真宗にも、仏教にもそのような教えは、ありませんよ。」
このように、私は答えました。

更に、「お墓は、愛するあなたのお父さんのお骨が埋葬されている場所ですね。あなたのお父さんは、阿弥陀様に救われ、お浄土に生れ、仏様となっているのです。けっして、墓の下に、あなたのお父さんの魂が存在しているのではありません。」
「しかし、あなたは、昨年のお正月は、亡きお父さんと共に過ごした。ところが、今年のお正月は、その父が、いない。せめて、お墓に参り、父に会いたいと思ったのですね。」
「あなたにとって、お墓は、お浄土にいるお父様との出会いの場なのですね。会いたいお父様に会うのに、日にちの良し悪しは、ありません。お父さんの生前、あなたは、お父さんに会うのに、この日は、良い。この日は、悪い。と、日を選んで会っていたでしょうか。」
「生前も、亡くなってからも、あなたのお父さんは、あなたのことを案じ、愛してくれているのですからね。仏様となって、あなたを見守ってくれているのです。」
「迷っては、いけません。迷いは、やがて苦しみに変わります。迷っている人の言葉に左右されるのではなく、正しい教えをご相続下さい。それが、仏様になられたお父様にとっても喜ばしいことですよ。」
このように、付け加えました。

亡き人を敬い、ご先祖のご恩を偲ぶはずのお墓が、迷信にとらわれることによって、人を迷わす材料となっているのです。

親鸞聖人は、こうした人々の姿を悲しまれ、

かなしきかなや道俗(どうぞく)の

良時吉日(りょうじきちにち)えらばしめ

天神地祇(てんじんじぎ)をあがめつつ

卜占祭祀(ぼくせんさいし)つとめとす    『愚禿悲嘆述懐讃』


『意訳』 
悲しいことに、道を求める者もそうでない者も、時が良いとか日が良いとかを選んだり、また天の神や地の神をあがめて、まじないや占いや祭やおはらいなどを一生懸命やっている。

とおっしゃっています。

私たちが、因果の道理を踏み違えず、確かな眼で、生かされる人生を喜んで生きることを、仏様となられたご先祖も望んでいるのです。